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4.18

チャン・リュル監督特集

恥ずかしながらチャン・リュル監督の作品をひとつも見たことがなかったので今回strangerさんでの特集に通い詰め、全作制覇するという暇人のなせる技を敢行。
古い順から見ようと思ったのにうっかりチケットの取り方を間違えて、『春の夢』(16年)→『群山』(18年)→『福岡』(19年)→『柳川』(21年)→『慶州 ヒョンとユニ』(14年)、という、最新作のあとに一番の過去作を見るというわけのわからなさに。でも結果、この監督の現在と過去を比較しやすくてこれで良かったのかも。何故なら『慶州』や『春の夢』の素晴らしさに対して、最新作『柳川』が一番つまらなかったから…。
『慶州 ヒョンとユニ』や『春の夢』にある、すごく自由を感じさせる風通しのよい空気、ふざけてるみたいな軽やかな世界の中に不意に異質な、時間や歴史や生と死が交錯する不思議な瞬間が現れてドキッとする、みたいな面白みが、新作にいくにつれてどんどん真面目に、というか、ユーモアが減り、シリアスで意味深な余白が増えていき、『柳川』には思わず「しずるのコントかよ!」と突っ込んでしまった(各自「しずる コント 雰囲気映画」で要検索)。意味深感メイン、いらんわー。
この変化にはどんな背景があるのか、監督の意図を知ろうとパンフレットを購入するもしかし!もし私が上司で、部下がこんなもん作ってきたら反射的にビンタすると思うねんけど、なんでこれにオッケー出した?!?ってくらいに読みにくい仕上がりで、結局意図はわからず、無念。
うーん、ギャグのセンスもかなりいいし、真っ直ぐにロマンチックなところもいい、タイトルが出るタイミングもお見事なんよほんまに。そのままカラオケ映画を突き詰めてほしかったのに、『柳川』でジャズシンガー映画になってしまった残念感、伝わるかな。
あと、この人ドリカム編成好き過ぎるよな。現実のドリカムでさえ既に男女ひとりずつになっているのに、こういうむっつりスケベ感は女性に拒絶されても仕方ないかと。『福岡』、映画自体は嫌いじゃないけどさすがにおっさんふたり+少女ひとりってのはいただけない。でもこのおっさんたち(特にクォン・ヘヒョ)は最高だった。あと、ヤン・イクチュンは自作に出るときより全然『春の夢』の方が良い。『群山』の食堂のおばさん、誰かわからんけど凄く気になる、もっと出てきてほしかった。『慶州の』の古墳、あれすごいね。一度は見に行ってみたい。
もし次回作が公開されるなら多分見に行くけど、でももう私が見たいようなものは作ってくれないんだろうなという予感はする。むーん。