4.29
『トリとロキタ』
意外とほぼ全監督作を見てるほど好きな方なジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ監督(なぜか直近の『その手に触れるまで』(19年)だけが未見やねんけど、理由が思い出せない。コロナ禍だったのかな)、好きやけど、でも見る度「またこんな感じか…」と似たような映画ばっかり撮ってる印象もあったりした。で、最新作『トリとロキタ』を見た。これがヤバかった。
アフリカからやってきた移民のトリとロキタ。姉弟を装う幼いふたりは固い固い友情で結ばれて、ただ「離れたくない」それだけなのに社会はそんなことすら許してくれず…。見ながら「ウチがこの子たちの里親なるで!」と何度思ったことか…。
ビザがないというだけで危険過ぎる仕事に手を出すロキタと手伝うトリ、もしそれが警察にバレたら…ってだけでめっちゃドキドキハラハラ、サスペンスフルなのに、より危険な方へと転がっていくふたりを「頼むから最後に奇跡が起きてくれ」と祈りながら見つめるもまさかのラストに目ん玉飛び出す。救いすら見せてくれないむしろ当然のように絶望を突きつけるダルデンヌ兄弟の怒りのレベルが今までとは明らかに違うことを痛感。なんと誠実な大人かと感動。
あまりに過酷な少女と少年の生々しい日常の中に、微笑ましいふたりの歌声や、トリくんのスーパー身体能力がものすごい躍動感をもって現れ、飄々と信じられないようなアクションをこなす姿に全然笑えないシチュエーションでも思わず笑ってしまう、そのバランスも最高だった。
もちろん日本にも入管を巡る最低な問題があるけれど、こんな映画を撮れるほどまともな監督誰。