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5.05

『せかいのおきく』

すっかり貴重な新作を見るのが楽しみな監督こと阪本順治監督『せかいのおきく』を千日前の映画館で見たら、猥雑な街にぴったりのうんこ映画で大変満足。
江戸末期、下肥買いが集めた町の人々の糞尿は農家の人々によって優良な肥料として再利用されていたという最先端のSDGS映画(しかしこの映画を見ると糞尿の最も優れた利用法はクソみたいな奴に投げつけることなんじゃないかと思わなくもなかったけど…)。
モノクロスタンダードの時代劇、冗談じゃなくうんこばっかり出てくるけど、うんこを通して伝わる江戸の人々の生活、若者たちの気持ち、男女の淡い恋心が本当に素晴らしくてわたしゃ感動したよ。
下肥買いの青年が初めて「せかい」の存在を知る、うんこ中の佐藤浩一とうんこ待ちの寛一郎の会話、現代とは形式が違うトイレ(便所か)があんな感動的な場面になるとはびっくりだし、最近流行(?)の聾唖者の人物が、こんなカタチで美しく輝くとはと震えたし、長屋の雰囲気、雨や雪の見事さ、真木蔵人の可笑しさ、挙げたらキリがないくらい全部良かったなあ。役者もみんなかわいかった。寛一郎くん、父親譲りの毛量に期待。
モノクロなのは、まあガチでうんこが映るし、さすがこれはカラーは無理だよねと思っていたら普通にカラーになる場面もあって、爆笑した。