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5.17

『不思議の国の数学者』

Disney +で配信してる韓国ドラマ「カジノ」にガンハマりしたので、ムシク役のチェ・ミンシクが主演というのでパク・ドンフン監督『不思議の国の数学者』を見に行ってみた。
進学校に同情枠(家庭環境が恵まれない合格者枠)で入学するも勉強についていけない主人公ジウくんは、ひょんなことから脱北者として知られる夜間警備員ハクソンが数学が得意と知り、教えてほしいとせがむ。初めは無視していたハクソンだが次第に心を許していくも、だんだんと明らかになっていく彼自身の素性が彼を追い詰め…的なお話。
解答ではなく過程が大切なんだと若者に説くハクソン、数学の美しさを力説するハクソン、いつのまにかジウくんを息子と重ねる眼差し、円周率の楽譜、北と南さらにはアメリカを巻き込む政治的理不尽、国による殺人、そして韓国の学歴社会や現代の格差社会への批判、と、面白くなる要素はてんこ盛りなのに、どうも映画全体が緩い。すべてのシーンが同じテンションで緊張感皆無のままだらっと最後までいく。パク監督には申し訳ないけど、これもっと腕のある監督に撮らせたらめっちゃ傑作になってたのでは…と悔やまれる。あの死んだ息子のエピソードとか、5分くらいで済ます話じゃないやろ。
それでも、ラストにチェ・ミンシクが高校生に向かって正しく生きるとこを語るシーンにはグッときて、さすがムシク〜と思ったけど、それはあくまで役者の力か。チャン・フン監督あたりでリメイク希望。