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6.04

『それでも私は生きていく』

この監督の映画を見るたび「育ちが良くて頭がいい人って本当にいるんだな」と素直に感動する、ミア・ハンセン=ラブ監督最新作『それでも私は生きていく』、今回も同じ感動を覚えた。
パリの小さなアパートで8歳の娘と暮らすシンママ(って言うらしいよ最近は)のサンドラ、哲学教師だった父の病気による介護問題、妻子ある男との恋、日常にはあれこれ問題が山積、なにひとつ解決はしてないけれど、まあ、やれることやっていくしかない。
女の人生のある一部を、レア監督の年齢でなんでこんな冷静に捉えてクールに撮れるのか、42歳の彼女に何が起こったかと石立鉄男もびっくりよ。でもその監督が主人公に向ける視線がどこまでも開放的で清々しいのが素敵。
サンドラを演じるレア・セドゥ、ときには絶世の美女みたいな役を演じ、ヴィトンのモデルを務め、超絶セレブの彼女がクマも隠さず普段着にリュック姿であちこち歩く、その姿や、恋人や父親に向ける表情がとても良くて、こんな女優だったんだと驚いた。
それにしても、映画でもあまり目にする機会がない西洋人の老人ホームやそこにいる人々がかなりリアルなのにはギョッとした。一回出てくるひいおばあちゃんとか、老人が過ぎるし、父親の症状が悪化していく様も怖い。日常に存在するあの異様さ、そりゃ妻子持ちバカ男からでもメールが来たら喜んでしまうよね…。