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6.19

『ウーマン・トーキング』

わたしゃ彼女の監督作『テイク・ディス・ワルツ』(11)がやたらと好きでねえ、続く『物語る私たち』(12)も良くって、新作をずっと心待ちにしてたのよ。だから10年ぶりの新作&このタイトル&アカデミー脚色賞のサラ・ポーリー監督『ウーマン・トーキング 私たちの選択』には否が応でも期待して見て、その期待を一切裏切らない出来栄えが超嬉しかった。サラちゃん、我ら79年生まれの星。
自給自足で慎ましく暮らすあるキリスト教一派の村、しかしそこで夜な夜な男たちが女たちに家畜用の鎮静剤を使って眠らせ、レイプしていた事実が発覚、男たちが警察に勾留されてる二日間、女たちは今後自分たちが1男たちを赦す、2この地で男たちと戦う3この場を去る、どれを選ぶかを投票し、話し合う。これがほぼ実話だってんだから。
映画の大半が狭くて暗い納屋で11人の女たち(と1人の男)の会話だけれど、これを見た多くの男性は今までの人生でウーマンが真面目にトーキングするのを一方的に聞く機会なんてなかっただろうから、それだけでもいい経験ができましたね。女は実は人間だから話すんですよ、ってそんなことから教えてもろて。
文字の読み書きも、投票のやり方も教えてもらえなかった女たちによる極めて真っ当な政治と対話、休憩には誰ともなくスッと紅茶が運ばれるのが良い。
狭い場所、女の会話、でもそこで話されている内容のあまりの広さと深さ、ルーニー・マーラーさまの神々しさに、映画自体がこじんまりしてる印象はゼロ、どこまでも続く、私たちの友情のような映画でございました。
「しかしこれ、いつの時代の話やねん?」と思い始めた頃、突然流れるポップソングに身慄いする。唯一の男性キャスト、パディントンことベン・ウィショーくん、すげーいい奴やから最後の展開はちょっと可哀想な気もしたが、まあ仕方ないか。フランシス・マクドーマン、俳優としてはあんま好きじゃないけど自らプロデュースする作品でこの役は、さすがにカッコよ。