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7.10

『カード・カウンター』

あんま大阪で見る気になれなかった知的な映画を東京でと、ポール・シュレイダー監督『カード・カウンター』を。ポーカーもブラックジャックも全然ルール知らんけど、めっちゃんこ面白かった。前作『魂のゆくえ』も好きやけど今回の方がスピリチュアル感少なめで内容自体に惹かれながらも演出に感動もできて、個人的にはこっちの方が好み。
ギャンブルの映画と思ってたからまったく予想してなかった展開にだいぶ驚くも、映画自体も驚くほど地味に静かに素っ気なく展開していく。でも見ながら、「この映画めちゃくちゃ何かのフェティッシュに満ちた、実は凝りに凝った映画やな」と思っていたのだが、何のフェチなのかまではわからず…。しかし後にそれはポッドキャスト「PARAKEET CINEMA CLASS」の廣瀬純氏の発言で「シンメトリー」と知る。なるほど、賢い人の考えることはわからん。
罪とか贖罪とか復讐とか国とか戦争とか怒りとか悲しみとか重い話ではあるものの、ポーカー世界大会の中々狂った世界を知れたり、巨大イルミネーションでのシーン、手を繋ぐのにもじもじする男女、「拷問は出来てもそこはシャイなんかい」と爆笑もできた。そう、あのイルミネーションも中々狂ってた。それでも全体的に相当辛いストーリーなのでラストのあのE.Tがあって本当によかった…。
主演のオスカー・アイザックがいつのまにかこんなに渋く、あんな目をした俳優になっていたなんてと衝撃、更にまさかの私と同じ歳という衝撃。落ち着き過ぎやろ。
アホな若者はいかにもアホな若者らしく終始ウザかった。リンダ役のティファニー・バニッシュ主演『ガールズ・トリップ』(17)は今作と真逆の軽薄の極みみたいな映画で最高なのでオススメ。
と、しょうもない感想を書きながら作品を思い出してたらもう一回見たくなってきたな。