7.29
『小説家の映画』
で、先日東京でうっかり見逃してしまった映画を大阪でリベンジ、ホン・サンス監督『小説家の映画』。もちろん初期の頃からずっと好きだったホンさんだけど、前作『あなたの顔の前に』(21)を見てさらに、今まで以上に新作が楽しみで仕方なかったので、これは絶対見ておきたかったよのさ。
絶筆中の小説家と活動休止中の女優が公園で出会って立ち話で盛り上がり公衆トイレの中でふたりで映画を作ることを決めラーメンを食べながらあれこれ話しマッコリを飲みながら酔っぱらい。ああ、ホンさんはもううだつの上がらない、女にだらしない映画監督映画とは違う映画を作るんだなとしみじみしつつ、大人の女がふたり、一回も姿を現すことのない陶芸家の夫、断片しか話されない詩人との過去、なんなら冒頭の何処かからか聞こえる不穏な会話、突然窓の向こうからカメラを見る少女、それを全部理解する想像力が自分に備わってるのか自信の危ういところだけど、でもだからやっぱり絶対次も見たいなあと思うよね当たり前に。
あのカラーで撮られた映像は過去にホンさんとキム・ミニが作った作品らしいのだが、あそこに写っている(いない)ものより、不倫中の女とこんなもん作るホンさんの恐ろしさの方が気になって気になって…。下世話でごめん。
ラスト、試写から出てきてロビーに誰もいなかったときのキム・ミニの立ち姿があんまりホンさん映画であんまり見たことない感じでドキッとした。