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8.10

『猫と、とうさん』

他に見なあかん映画がいっぱいあることは重々承知しつつやっぱり無視できなかった、マイ・ホン監督『猫と、とうさん』
世に猫好きのためのネコメンタリーは幾つもあるけれど、今作は猫とジェンダーに焦点を当て、「猫好きな男なんて軟弱」的なイメージを覆そうとしていることろが新しくてとても良かった。
確かに、日本でもインスタに立派な飼い犬の写真をあげるキムタクはいるけれど、中々愛猫家のイケメンって思いつかないし、ハリウッド映画(すなわち男性社会)でも猫を可愛がる男性ヒーロー像、私は見たことないわね(『猫たちのアパートメント』でも活動してたのはほぼ女性だったし)。
劇中に出てくるのは、猫を4匹飼いしてる俳優さんや猫と旅をしながら仕事してるトラック運転手、男だらけの消防署で愛されまくってる元迷い猫、保護猫にひとめぼれしたハリウッドのスタントマン、ブルックリンの野良猫問題にプライベートを費やして取り組む男性、そして末期ガンと戦うホームレスの彼の生きる理由となっている猫など、みんな猫に癒されて、喜んで猫のしもべになって、しかもそのことをカメラの前でデレデレ話す男性ばかりで、「なんや、マッチョも猫が好きなんだ」とこちらもほっこり、そういう男性への偏見的なもの(どうせピットブルが好きなんやろ、みたいな)がなくなっていく。だってムキムキの黒人が猫トイレを掃除してる姿なんて想像したこともなかったし。そしてみんな猫にリードつけて散歩してる、あれってした方がいいのかな。
たまに愛猫を使ってSNSで一儲けしようとしてる奴とかも現れてそれはどうなのと思わなくもなかったが、コロナ禍のアメリカでみんな生活が変わっていく中どこまでも自分勝手な猫たちの姿にひれ伏すしかないのは国も性別も関係なく人類共通なんだなと確認できてよかったよかった。