『バービー』
バービー風でキメて行こうと思ったけどクローゼットを見たら意外とピンクの洋服ってないのよね、グレタ・ガーウィグ監督『バービー』。
前々から完璧過ぎることが欠点だと感じていたマーゴット・ロビーがバービー人形役ってだけでほぼ成功だと思うし、ライアン・ゴズリングのにやけ顔をこんなに上手く使った監督はいないと思うし、なにより全体的にとにかく可愛いし、女の子たちが元気だし、男の子たちも優しく扱われてるし、相手が誰であっても他人を邪険に扱ってはいけないよというお話、特に文句なく素敵な映画だと思いました。これがアメリカでアホみたいにヒットしてるってのもホント良い話(でもこの映画がヒットするってことはアメリカの現実もまだまだ厳しいんだなとやや衝撃)。
しかし幾つかケチをつけてる文章を見かけて嫌な気分に。今まで散々、ほんとに散々男が作った男による男のための映画を見てきて、ほんのたまに女が女の映画を撮ったら文句つけずにいられないってやば過ぎるし、そのうえ此の期に及んでグレタ監督に対してクソバイスする輩までいて、なんかもう感心する(もちろん褒めてない)。まあ、ラストの婦人科を妊娠だと解釈する男性が複数いると聞いて、改めて道は遠いなあとため息が出ましたが。あ、でも逆にめっちゃ理解を示す男もキモ過ぎて無理かも〜。
ひとつ危惧したのは、ここで描かれる典型的な「有害な男らしさ」に対して、「僕はこんなことしてないし、馬もでっかい車も興味ないから大丈夫」と文系男子が安心してそうだけど、いやいや違うからね。まんまあなたたちのことだからね、一応。
見ながら心が痛んだのは、私は幼少の頃バービー(日本版)の髪を切り、顔に落書きをし、変なポーズをとらせ、典型的な「変てこバービー」製作者だったこと…。しかも大量のバービーコレクションを阪神タイガース柄のバケツ(母がトラキチで)にぼんぼん放り込んで、優しさの欠片もなかったことでしょうか…。好きだったんだけどね、ごめんよ。