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9.14

『あしたの少女』

『私の少女』(15年)は未見なのですが、チョン・ジョリ監督『あしたの少女』、映画見てこんな辛い気持ちになることある?!ってくらい、見たあと超凹んだ。すごく良かったんだけれども。
卒業間近の高校生ソヒ、ダンスが好きで、責任感が強くて、友だちからも人気者で、ボーイフレンドもいて、メイク研修に疑問を抱くような女の子が、一流企業の子会社で実習生としてコールセンターで働き出してから、彼女の中で何かが狂っていき…。醜悪な社会(システム)、その奴隷(大人たち)のせいで彼女の笑顔が曇っていくのが辛いこと辛いこと…。今までに既にどこかで何度も聞いたような話がこんなにリアルに刺さったことはなかった。きつい。現実が。
文字通り世界からソヒが消えたあと、ぺ・ドゥナが登場、そこからしっかりと大人の彼女がソヒの尊厳を取り戻すために行動してくれる世界があることを示してくれてほんのちょっと救われる。自称社会派日本映画にはこれがなくて無責任だから嫌いよ。ペ・ドゥナという女優さんはどんなけ説明的だったり作り物っぽいセリフでもその役本人から出てきた言葉のように話すことのできる、非常に優秀の俳優さんなのね(今さら気づいた)。ひとりソヒの動画を見てる姿にはちょっと泣いた。
会社の奴らも高校の担任も役所の人間もついでに無力過ぎる両親もみんなみんなはらわた煮え繰り返るくらいムカつくけど、気がつけば自分もそちら側に相応しい年齢なことにビビる。若者が同世代の仲間を社会から「防弾」するために結成された防弾少年団=BTS、そりゃ世界中で支持されるのも納得よ。申し訳ない。
そんな結構重くて暗くて絶望的な映画だけど、監督は多分女性も本気でムカついたときは手が出る(相手を殴る)ということを否定してなくて、そこはニヤニヤしながら見てました。