10.04
『バーナデット ママは行方不明』
4年前の作品らしいけどリチャード・リンクレイター監督最新作『バーナデットママは行方不明』、おもしろいなあケイト様最高やなあとひたすらうっとり、時々笑ったり泣いたりしてる間に終わっていった幸せな映画であった。お話自体に特に目新しさがあるわけじゃないけれど、こういう映画久しぶりに見た多幸感。
元天才建築家として活躍するも結婚して子育てに専念、しかし日々の生活に息苦しさを感じる主人公バーナテッドが忽然と姿を消して向かった先とは…。なんでこの一家はこんな家に住んでるんだ?とか、あんな簡単に大雨で家がやられるのか?とかは、笑えたから良し。ワンちゃん可愛い。
リンクレイターといえば今まではどちらかというと男の子の映画を作りがち、というイメージだったから(『6才の僕が、オトナになるまで。』のパトリシア・アークエットは素晴らしかったけど。あの二の腕!)こういう「女の人生」についての話ってのは意外な気がしたが、全然いけるのね。わたしゃ車の中で流れる音楽を運転手と助手席が熱唱するシーンに弱くてね(原点は勿論『ウェインズ・ワールド』)、それだけで泣けるんだけど、あの母娘のシンディ・ローパーにはまんまとやられた。涙々。あの娘ちゃん、これが映画デビューってのも凄い。変にマザコンに見えず、ちゃんと母親をひとりの人間として親友と思っている絶妙な感じにまた涙。それに対して南極に行くまでの父親ウザ過ぎた。都合の悪い女を狂人認定する男ってのは古今東西いつの時代にもいるもんなのね(それを冷静に撮ってる監督は立派)。
『TAR』は見逃してしまったけど辻仁成風に言うと、ケイト様ほんまにこれで引退するの?!という寂しさと、ここまですごかったらそりゃもう十分やわなという納得の間。