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10.14

山形国際ドキュメンタリー映画祭2023

10月6日から10日まで、「山形国際ドキュメンタリー映画祭2023」に参加してまいりました。前回行ったのが05&07年なので、実に16年ぶり。
基本的には午後から映画を見て(他の皆様はもちろん午前中から活発に動いてらっしゃる)、夜は現地で会った友人知人と酒を飲む、という夢のような時間を過ごさせて頂きまして、大満足な滞在でございました。そんな風に過ごした結果、四日間で17本という微妙な鑑賞数、めちゃくちゃ面白い映画もあり、イマイチな作品もあり、それが映画祭。でも今回久しぶり過ぎてちょっと映画を選ぶ勘が鈍った感あり。鍛え直さねば。
その中で一番テンションが上がったのは、アシュレイ・セイビン&デイヴィッド・レッドモン監督『Kim’s Video』、マンハッタンにあった伝説のレンタルビデオ屋「キムズビデオ」の、キムさんと、お店にあった膨大な量のVHSの行方を捜すドキュメンタリー、が、なんでかイタリアでマフィアに命を狙われる事態に。どこまで監督たちが想像していた展開なのかわからないけど、あまりのはちゃめちゃさに会場の爆笑の嵐で超楽しかった。明らかに堅気じゃないキムさんもかっこよく、スタッフたちの行動力も見てて気持ちよく。私ハタチくらいのころにキムズビデオに行ったことがあって、そこでゴダールの『ウィークエンド』のVHSを買ったんだけど、多分あれはゴダール弁護士案件。
一番テンションが下がったわけではないんだけれど見終わったあと「どうすればよかったか……」と呟くしかできなかった、藤野知明監督『どうすればよかったか?』。83年に統合失調症の症状を発症した姉、しかしそれを認めず病院に連れて行かない両親(超エリート)、弟である監督がカメラを回した20年以上の家族の葛藤。ホームビデオらしい穏やかな家族の風景がだんだんと不穏な状態になっていくさま、年老いていく家族、頑固な両親、美しかったお姉さんの変わっていく姿…。あまりに凄まじい映像、それらを固唾を飲んで見るしかできないんだけど、まあ辛い。見てるだけでこんなに辛いのに、これを撮って編集した監督さんの精神状態が心配になるほど辛い(その辺は上映後のQ&Aで説明してくれたけど)。最終的に無念過ぎる結末を迎えるってのも現実容赦なさ過ぎ。本当にどうすればよかったか。お姉さんのチャーミングさが唯一の救いであった。
他には、恥ずかしながら初体験の野田新吉特集に少し通ったり、イーストウッドに振り回されたりしてました。
美味しいお蕎麦は食べたけれど、お目当の山形ラーメンは日曜祝日店閉まりまくりでありつけなかったのが超無念。2年後には必ず食べる。