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10.31

『福田村事件』

やっと見た、森達也監督『福田村事件』。余談、適当に「映芸系映画」と呼んでみるけど、これ系の時代劇って画面の感じとか「やる気」のある若手キャスト(井浦新、東出昌大、瑛太…)が似通っていて、あんまり区別つかない。今回も特に「森達也初のフィクション!」的なことを感じるところもなかった。
で、「福田村事件」そのものについては私もあんまり詳しく知らなかったので、事件当日のあれこれは見ながら確かに衝撃で、恐怖を感じなくもなかったけれど、あの殺される側視点のカメラとかダサ過ぎたし、『ハント』なんかを見たあとだと特に「これが韓国で作られたらもっと面白かっただろうなあ」とか思ってしまった。
そして事件が起こるまでの数日間、朝鮮人だけでなく被差別部落の人たちの日常を描く必要性も十分にわかるけれど、他の人も言ってるけれど、やたらと挟まれるエロシーンは要らんよな。最新の調査ではZ世代の48%がテレビや映画にエロいシーンは必要ないと感じているらしいし(X情報)、そういう世代に届いてなんぼの映画だと思うので、おじさんたちもうこういうのはやめた方がいいと思う(しかも夫が出兵して寂しさを持て余した妻が欲情するパターン多し…)。純粋に、具体的なエロ描写じゃないと伝わらないものって何??
そしてあの正義感に満ちた若くて美しい女性記者。事件が起きたときインテリ男たちはどこまでも無力で、人が殺されるのを見てるしかできなかった。彼女の存在はいかにもそういう男たちに対して男(監督たち)が考えた言い訳にしか思えなくて、これも要らなかったように感じる。無力は無力なんだから無力のままでいいのに。
井浦新と柄本明の芝居はやっぱり見応えがあったがそれ以上にコムアイが良くてびっくり。もうアマゾンで出産とか危険なことはやめて落ち着いてほしい。私には、この田中麗奈が正解なのかわからない。