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11.06

『月』

実家でゴロゴロしながらスマホ見てたら相模原障害者施設殺傷事件をモデルにした「世に問う大問題作」(HPより)がこの世に存在し、公開されているとの情報を知り、翌日急いで石井裕也監督『月』を見に行ったのだがしかし。
弱者の大量殺人というテーマで私が大変素晴らしいと感じた前田哲監督『ロストケア』と真逆のことばっかりやってるからマジで色々間違い過ぎてるし、演出も酷い。こういう重くて深刻なテーマを扱っていることに満足して、そのことそのものについて自分の頭で考えてないんだろうなってのがバレバレでした。
主人公演じる宮沢りえは震災ものを書いて有名になった小説家兼幼い息子を病気で亡くした過去をもつ障がい者施設の新人職員…とてんこ盛り、フリーターの夫役はオダギリジョーなんだけど本人の過去を考えるとこんな役やらせるのデリカシーなさ過ぎじゃないか?犯人兼同僚の磯村勇斗くん、こいつの彼女が聾の設定の意味がわからなかった。そして小説家を夢見る同僚の二階堂ふみのここでのウザさはちょっと凄い。マジでウザい。この人こんなに顔丸かったっけ、丸ささえウザい。
文句は山ほどありまくるけど、一番ダメだと思った点は、犯人やこの映画の主張はこの犯人を異常としつつも「でもこれがあなたの隠された醜い本心じゃないですか?」と問いかけてくるところで、隠すも何も、実際の犯人は安倍晋三に手紙を送りあいつは死ぬまでこの事件を否定もせず本人は未だ支持され、躍進する維新の会は安楽死大賛成で、問いかけるまでもなく今の日本じゃマジョリティな感覚でしょうに。そのことをわかってないのか認めたくないのかあえて避けてるのか知らんけど、そうした背景にまったく触れずに進めるから、結局ただのショッキングなニュースのひとつで終わってしまっている。映画にするならそれは違うでしょうと思うけど。宮沢りえ夫婦の問題と和解とかほんまどうでもいいし。
ああもう何もかも苦痛、ラストはセカイ系かよ…と感じながらも144分耐え抜いて(長いよ)、やっとクレジットに辿り着いて初めてこのプロデューサー案件と知り、パーカッションばりに膝を打つ。