『花腐し』
どうせ見終わったあと怒り狂ってるんやろうなー自分、と思いながらも荒井晴彦監督『花腐し』を見たんですが、これが面白いとは言わんけど、意外と悪くはなかった。
ひょんなことから出会った男ふたり、ほぼこのふたりの会話だけで話は進む。会話の内容はお互いの過去の女のこと、後にそれが同一人物だとわかるが、彼女は既に別の男と心中していてこの世にはいないのであった。
ピンク映画の監督と元脚本家、自分たちの夢破れた感傷的な話や女優が自ら進んで監督のお酒を作る世界線には「こういうメタバースなんだな…」と思うことにしたよ。大人でしょ。
過去の女についてひたすら話す、その内容が面白いわけでは決してなく、それを演じる柄本佑と綾野剛がやたらと良くてね、見てられた。まあ柄本くんはいつも良いんだけど、綾野くんはガージーに詰められて改心したのかなってくらいに、おとなしいだけでロクでもないナルシストな映画監督を上手いこと演じていて、非常に良かったと思う。ただそれに対してふたりが思いを馳せる女演じる女優さん(「六本木クラス」の子なのね!)が可哀想なくらい魅力的に撮られてなくて、「監督がこの子に興味なんだろうなー」ってのが見てて伝わり過ぎで、それは酷いと思ったよ。めちゃくちゃ体張ってたけど、それだけ。
あの柄本くんとのアナルの一連、女優さんに対しても女に対してもさすがにこれは酷いなと思いかけたが、その後の展開で、柄本くんと綾野くんはアナル兄弟なのかとわかり、そのバカバカしさに笑ってしまった。
最後の乱行シーンも、無駄なエロいらんなーと思いながら見てたけど、最後に綾野くんがカメラを持ったので、こいつらに撮れるものなんてハメ撮りくらいのレベルってことか好意的に解釈しておいた。大人でしょ。
まあこんな風に妊娠も堕胎も自分の都合で女を振り回したり、興味はなくてもカメラの前でセックスさせたりすることができたり、そんなことももう終わり、だって女は他の男とこの世を去ったんだもんね。お疲れ様でした〜。