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12.22

『枯れ葉』

うっかり忘れていた、カウリスマキの映画を見るたび映画館から出た瞬間「映画はもうこれでええ(千鳥ノブ)!」と叫ぶことを。なので、アキ・カウリスマキ監督最新作『枯れ葉』を見たあとも「映画はもうこれでええ!」と叫んだのであった。本当に良かった。音楽も最高。81分でこんな映画が作れるなら大概の映画はもういいでしょう。しかも私が行った回は満席で、みんなもそう思ったはず。
フィンランドの首都ヘルシンキ、地味な町、スーパーのパートさえ理不尽な理由でクビになり休職中の女と、酒がやめられない工事現場で働く男、お互い名前も連絡先も知らぬまま惹かれ合うも不運や現実がふたりを遠ざけ…。
若くないふたりが生活のために肉体を使って働く日々、そこに不意に訪れるときめき、そんな日常にラジオから流れ続けるウクライナ戦争のニュース。小さな日常をほんとに最小限の表情や動作でなんでこんなに大きく胸を打つのか、ラブな部分ももちろん涙涙やけど、何気にパートの仲間たちが連帯してくれたり、パートを辞めたあとも友だちでいたり、女があっさり野良犬を引き受けたり、そういう優しさも泣けた。あと、決して明るくない仕事なのにパート女性たちのコートがみんな鮮やかな色なのはフィンランドのお国柄なのかしらん。いいよねああいうの。日本の中高齢女性は地味過ぎる。
戦争は全然終わらず辛い現実の中、それでも一瞬のウィンクでこの先も生きていけるような気がする、それ以上に何があるのか!チャップリン可愛過ぎる!(しかしフィンランドの病院は動物可なのか…?医学的に絶対あかんと思うけど…)