『映画 窓ぎわのトットちゃん』
メリークリスマス。
実は原作読んだことないんです。もちろん黒柳徹子の自伝ってことは知ってるけど、具体的な内容は一切知らなかった。なので、八鍬新之介監督『映画 窓ぎわのトットちゃん』を見て、色んな意味で衝撃と感動と悲しみで結構泣きはらす。このお若い監督さん、演出は気が利いてて映画全体はとても凝っていて、今後に期待大。
昭和15年、トットちゃんは多動児だったのかな、いわゆる普通の小学校に受け入れられず、最終的に入学した「ともえ学園」で素晴らしい先生や大切な友だちと出会い、多くのことを学び、成長していく。優しい大人たちに見守られながら子どもが子どもらしく過ごす日常に、じわじわ戦争の影が忍び寄り、世界は勝手に変化していく…。
この「ともえ学園」の存在も今回初めて知ったんだけど、戦前にこんな学校があったなんて本当に驚き。小林先生(校長)マジリスペクト(声優は役所広司だったけど、実写でも絶対役所広司希望)。素晴らしい教育方針から、代表的な卒業生は徹子と美輪明宏って、個性的過ぎるのも納得よ。
そこで出会う友だちのヤスアキ君。小児麻痺が原因で引き篭もりがちな彼がトットちゃんと出会って変わっていく様、それを知った彼の母親の背中、泣いた。こういう描写が良い。
中盤、そんな大事な友だちとの別れ、初めて人の死を知ったトットちゃんの悲しみ。大切な人が殺されるしかない戦争。この辺りの演出と音は是非実際映画館で体験していただきたい。最近の邦画の中では断トツの反戦映画かと。
トットちゃんの幸せな日常に寄り添うご両親もかっこよし(めちゃくちゃ金持ちなのは、まあそりゃそうよね)。ロッキー、途中でいなくなったけどお前まさか……(号泣)。戦争マジしばく。
本編の途中で挟まれる幻想的なアニメーション、3回あるんだけど、それが全部かなりハイレベル。日本のアニメーション凄いなと初めてちょっとだけ思った。
トットちゃんや子どもたちの造形はアニメ画に不慣れな私には慣れるまでちょっと時間がかかったけど、でも全然許容レベル。
こんな映画を子ども時分に見られる今のキッズが羨ましい。でも大人も見て損はなし。あの電車や戦闘機の音、午前中の回を見たけど周りは大人客ばっかりやったし、躊躇わず映画館で見るべし。