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12.31

『神の道化師、フランチェスコ』

一年の終わりくらいせめて敬虔な気持ちになろうと、ロベルト・ロッセリーニ監督『神の道化師、フランチェスコ』デジタルリマスター版を見に行く(ロッセリーニに関しては見てない自慢ができます)も、冒頭から「カッパ頭で全身ずっくずくに濡れさらしたおっさんたちが集団で何ウロウロしてんねやろ…」と罰当たりな思いが頭をよぎる。
しかしそのあと語られるエピソードが九つ、神の教えに従って生きるとは美しく、めちゃくちゃおもしろいものなんだなと静かに感動致しました。なるほどこれが神の道化師かと。
兄弟のために豚の足を切るのはどうかと思ったけど、深夜ハンセン病患者との静かな出会いとフランチェスコの祈りには深い気持ちになり、一転悪い奴らに捕まったら手足をもたれて大縄跳び扱い、あんなビュンビュン振り回されても壁に捕まる脅威の身体能力、ふざけてるとしか思えない鎧を着た領主の怒りも収める癒し力。
村の厄介者の認知症っぽいじいさんを引き受ける心の広さも、じいさんが要らんこと言いそうになったらガンガン口を塞ぐ雑さ、笑った。でもみんなフランチェスコの存在で幸せになってるっぽいからいいのだろう。多分。事実、鑑賞後はなんとも言えない多幸感に包まれて。良い映画だった。
よかったよかったと言いながら映画館を出た瞬間目の前のキリンシティに吸い込まれた、欲に負けっぱななしの私にもフランチェスコは優しいのだろう…と信じる…。

それではみなさま、よいお年を〜〜〜!