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1.12

『ファースト・カウ』

二日連続ライカートの新作が見られるとは嬉しい限りと、本日はケリー・ライカート監督『ファースト・カウ』へ。
映画ではあんまり見たことないような、なんにもないアメリカ。西部開拓時代のオレゴン州ってこんな感じだったのかと初めて知る。最初からお話の結末はわかっている。
ひょんなことから出会った料理人クッキーと中国移民のキング・ルーが、いつの間にかふたりでひとつのような友だち関係になっていく様がびっくりするくらい静かで自然で、驚いた。女同士なら「ノリが合う」くらいの感覚で近づくこともあるけどさ。
西部劇に、銃の代わりにケーキ(スコーン?)、金塊の代わりにミルク。血が流れなくても十分ドキドキハラハラできること、馬を乗り回さなくても繋がれてる牛だけでアメリカンドリームに近づけること、感動と共に見せて頂きました。素晴らしかったです。部屋を掃除したり花を飾ったり生地を混ぜてフライパンで焼くヒーローなんて、そりゃ男性監督は嫉妬するわね。
あの、牛が船に乗せられてゆっくりと川を下る美しさ、負傷したクッキーがベッドから見た謎のおじい、冒頭に流れる川とでかいタンカー、思い出しただけでもうっとりできるシーン多数。
あの仲買商の家にいたおじさんがノーボディだったなんて!ノーボディ大好き。
余談、お母さんに連れられたのか、小学生(4年生くらい)女子が劇場にいてて、上映後牛さんのパネルを写真に撮っていた。彼女にとってアメリカ映画の記憶がこれで始まるとしたら、凄いよね。