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1.18

『二人静か』

街全体が池袋北口のような場所・十三にて、東京で見逃していた坂本礼監督『二人静か』を鑑賞。
5年前、当時5歳の一人娘が突然行方不明になった若夫婦。いまだ週末にはふたりで情報提供を呼びかけるチラシを配っているが、妻と夫の関係は既に醒め、ふたりが向いている方向も噛み合わなくなっていた。そこに突然夫婦を手伝うと話しかけてきた妊娠中の女性、彼女との関係に一気にのめり込む妻だが…的なお話。
娘がいなくなった日から時間が止まっている妻、そろそろ前に進みたい夫、夫婦の温度差がエグくて、一本の映画中にふたつの世界が同時進行してるみたいな新しい感覚。ふたりの身長差のエグさも相まって(妻がデカい)、本当に分かり合えないふたりって感じで切なかった。だからあの居酒屋での夫(水澤紳悟さん)の独白シーンは凄かった。会社(リトルモア勤務?)でのパパ活後輩に対する態度とかにちょっとウザい奴やなと思ってたけど、あの静かな迫力には震えた。
妻(西山真来さん)が狂気じみた熱量で妊婦の協力者に近づき、彼女が何者なのか判明したあともふたりで『ドライブ・マイ・カー』的な行動に出るあたり、その気持ちは本当にこのふたり(被害者と被害者)にしか分かり得ないものなんだと。簡単に共感なんかさせてくれないのが良い。
久しぶりにこんなスローモーションのカッコいい映画!とゾクゾク、大変面白かったのだが、ちょっと全体的に暗過ぎるか、一度くらい西山真来さんのあのチャーミングな笑顔を見たかったかな。