1.29
『ポトフ 美食家と料理人』
初期の作品は幾つか見てるけど目を離した隙にこんな映画を撮る監督になっていたとは、トラン・アン・ユン監督『ポトフ 美食家と料理人』。実に素晴らしかった、マジでVIRON予約して行けば良かった!!と超後悔(あれくらいの緩いフレンンチが好み)。
とにかくまあ、冒頭30分くらいあるのか?雰囲気のいい、フランスの田舎にある(めっちゃ猫の鳴き声が響く)いかにも使いこまれたキッチンを舞台にひたすらジュリエット・ビノシュが切ったり焼いたりオーブンに入れたり出したりしてる料理シーンが圧巻。鍋からもわもわと立つ湯気、料理人の顔、無駄のない動き、美味しい料理って作ってる過程からもう美味しいんだなとめちゃくちゃ感動しました。初めて見る料理の工程もいっぱいあって、あの丸鶏の足湯みたいなん何?とか、肉何回焼く気?とか、ヒラメでか!とか、ワクワクもできた。ワンカットで撮ってるらしいが、いやあ凄い。ここだけでも見る価値大々々(一瞬「IHコンロ?!」と思ったけど、違うよね…)。
それを食べる美食家クラブのおじさんたちもギリギリ嫌味に見えないバランス感覚や、助手たちも(残り物ではなく)おじさんと同じものを食べてたり、ビノシュが結婚を拒否し続けてたのも、「ユアンさんわかってはるわ〜」といちいち感心。ラストのポーリーヌを連れに来るのも最高に良かった(もちろん「妻」と応えないのも)。おじさんたちのやさぐれた美食家を慰めるシーンも可愛くてよかった。
あんまり好きな女優ではなかったけど、このビノシュの、料理人として以外無駄な芝居をしない姿はさすがの迫力で感動。
パートナーの美食家、プロポーズダサいし、好きになれないタイプのイケおじやな…と思ってたら現実のビノシュの元パートナーなのね、全然知らなかった。