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2.02

『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』

久しぶりにクソ映画ハンターの血が騒いだので、成田洋一監督『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』。噂の特攻隊員と現代の女子高生(JKって言葉は下品だから嫌い)が恋するやつです。見に行った私を誰か褒めて。
見終わった感想としては、危惧してたような特攻隊を「お国のために命懸けで」と百田的に美化するウヨさはなく、21世紀から1945年にタイムスリップしてきた女子高生は当然「日本は戦争に負ける」という歴史くらいは知っていて、戦時中でもところかまわず「戦争に意味なんかない!特攻なんか無駄だよ!」と騒ぎ(だからすぐトラブルを起こす)、それは最後まで変わらないからちょっと安心したのですが。
映画全体がこの女子高生目線で作られていて、この45年には天皇陛下も関東軍も朝鮮も満州も姿を表さず、徹底的に若者の悲恋の物語になっている。終盤には満員の劇場は啜り泣きの嵐だったけど、見にきてた若者たち(ほぼ女性)には「戦争は好きぴが死ぬからダメ、絶対」と反戦の気持ちが芽生えるんじゃないでしょうか。それがいいこととは思わないけど、ガチの反戦映画じゃ若者は見に来ないしねえ。どこまで製作側が狙ってやっているのかが知りたい。特攻直前に逃げ出す隊員のことは肯定的に描いてたりする。
ただもちろん、タイムスリップのテキトーさ(寝て起きたらスリップしてる)とか、街全体焼け野原になるくらいの空襲に襲われたはずなのに、次のカットでは何事もなかったかのように元に戻ってるとか、「ええ加減にせえよ」と突っ込みたくなる演出は多数有りで全然ダメなんだけどね。戦争孤児を出すのは偉いと思ったけど、もうちょっと丁寧に扱ってあげて。あと「あの花が咲く丘」は、最後にもう一回出そうよ。
女子高生役の福原遥クン、朝ドラのときからそうだけど、ちょっと芝居や動きが頼りなさ過ぎるか。儚さが可愛くもあるけど、あまりにもそれだけ過ぎる。この先の伸び代が欲しい。
特攻隊役の水上恒司くん、こいつがある意味ハマり役。常に瞳孔開いてる系のバキバキにキマった目で、特攻ハイ状態にしか見えない。惚れた女が「逃げよう」と言っても黙って微笑むだけで、最終的に笑顔で特攻へ。ヒロポン中毒の設定だったのかな。
場内号泣のラストカットが終わり、クレジットに流れる福山雅治の主題歌、これが一番酷い。映画自体が女子高生目線なのに対して、歌が完全に特攻志願兵目線。しかも福山の歌い上げ方も特攻ハイとしか思えない気持ち悪さで、自分に酔い過ぎ。これ紅白のトリってヤバいでしょ…。