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2.24

『夜明けのすべて』

安子!稔さん!!と叫びながら、三宅唱監督『夜明けのすべて』へ。地元のショボいシネコンが満席で、大阪人にこの繊細さが伝わるとは到底思えないが、まあ良きことかな。
重いPMSを抱える女の子と、パニック障害を患う男の子の、優しい物語。そう、本当に優しい映画で良い映画、としか言いようがないくらい、優しくて良い映画だったとしみじみ。
16ミリフィルムに映る場所の空気、主演ふたりの繊細だけど的確な距離感、そのふたりを見守る周囲の人たちの態度、本当に細かいところまで周到に配慮された脚本、意地悪な私でもマジでツッコミどころがないくらいに優しかった。優しいことはいいことだ。稔さんは死んじゃったしね。
そして多くの人が指摘してるように、栗田科学の存在とか、散髪とか、木とか空とか風とか、一瞬たむらさんまで生き返った!?とギョッとした。そんなところでもお優しい監督。
この殺伐とした醜い国で、若い人たちがこういう優しさに触れることができる映画はとても貴重だし、この作品が救いになる人もいっぱいいると思う。ただ、もう若くない我々(と勝手に誰かを巻き込む)は、そろそろ「立ち入り禁止」を無視して進む姿も見たかったかなと思うこともなくはなかった。贅沢なわがままですが。
っていうかさ、みんな今頃松村北斗くんに興奮してるけど、ウチら朝ドラ派は彼がすごい役者で奇跡の横顔だってことは前から知ってたし、『劇場版 きのう何食べた?』でもチョイ役やけどめちゃくちゃいい仕事してたのも見てたし。遅いし。
萌音ちゃんも朝ドラはもちろん、『溺れるナイフ』(16年)のあの、絶妙にムカつく友だち役を見てただの優等生タイプじゃない人なんだなとずっと注目してたし。めちゃくちゃ身勝手なことを言うと、このふたりを主演にした時点でこの映画は優勝、と公開前から思ってたし。マジで。