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2.26

『梟』

予告を見て想像してたのと全然違った、アン・テジン監督『梟』。ショボいホラーを想像してたが、かなり手に汗握る本格娯楽サスペンス映画であった。17世紀朝鮮王朝時代に実際あったらしい「王の怪死」を題材にしたお話。
天才鍼師ギョンスはその腕を買われ宮廷で働くことになるも、ある夜、世子(王の息子)が殺される現場を「目撃」してしまう。「目撃者」として追われる身となったギョンスは犯人をめぐる謎を暴くため夜の闇を駆けるが…(この映画を見る前に、未体験の方は韓国ドラマの歴史物を一本くらい見て、この時代の朝鮮の宮廷が跡取りの座を狙ってマジでめちゃくちゃドロドロしてるってことを知っておきましょう。本妻や愛人が自分の子どもを王にするためにあらゆる汚いことします)。
映画のタイトル通り、「梟」が活躍する。「盲目の目撃者」という特に新しくもないトリックに、王族と庶民という権力関係を生かし、見える/見えない/見て見ぬふりをする、のスリルで二転三転、途中「寝返るのか!なんやねんこいつ!」とムカついたり「え、いくらなんでも鍼師そんなことしていいの…」とビビる部分もあったけれど、最終的には韓国映画らしい熱さを見せてくれるエンターテイメント。監督さんはこれがデビュー作の51歳という遅咲きの方らしいが、是非どんどん作り続けて頂きたい。主演のリュ・ジョンヨル君も我が偏愛ドラマ「応答せよ1988」のジョンファンが立派になってて嬉しいよ。ヘリちゃんとの破局は残念やけど…。
と基本的には大満足なのだが、「梟」なだけあって、映画の8割は夜のシーン(明かりも消された状態)で、最近鳥目がちで夜道も怖い私には、マジで何が映ってるのかわからないシーンが幾つかあったのが残念であった。無念。