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2.29

『落下の解剖学』

話題作だというのになんでか大阪では上映館が少ないので(見て納得、大阪人には合わなそう…)急いでジュスティーヌ・トリエ監督『落下の解剖学』。監督は同世代の女性で嬉しい。
予告ではサスペンスかミステリーかって感じだったけど、これは裁判劇、というのでしょうか。見たことのない裁判劇。物的証拠のない裁判てこんな感じなのか…と震えながら見た。
雪山の山荘で暮らす家族、三階から転落死した父親を発見したのは視覚障害のある息子。当初は事故と思われたが、次第に人気作家である妻による殺人が疑われはじめ、裁判で争うことに。
見ながら、フランスの検事ウザすぎてビビる。あいつの言うこと下世話過ぎない!?しかも全部妄想やし!小説と現実ごっちゃにすんなや!とイライラ…。ほんであの録音されてた喧嘩の様子も(勝手に録音すんなや)、あの状況なら私も絶対「子育てしてるくらいで被害者ぶんなや!こっちはお前の地元まで引っ越して来たってんど!」と夫に対してグラスのひとつも投げつけるね確実。ねえ。男が浮気しても育児に非協力的でも誰もここまで責めないのにね、ってのが大変わかりやすくてよかったと思います。
殺人を疑われる主人公、暴かれる私生活、勢いのいい検事に対してフランス語もままならない彼女、イケメン弁護士(個人的には好みじゃないけど)、女性裁判官。それを傍聴してる幼い息子が最終的にああいう流れを作るというのも自然だったかと。裁判みたいな場では真実なんてどうでもよくて、「周りにどう映るかなんだ」ってこういうことなんだなと非常に納得できました。
なんのカタルシスもないラスト、全然いいと思うけど、息子よ、犬にあんなことしたらあかん。