3.01
『ミレニアム・マンボ』
祝リバイバル!ホウ・シャオシェン監督『ミレニアム・マンボ』(01年)は03年の公開当時と11年の吉祥寺バウスシアターでの爆音映画祭で二度見てるんですけど、初見のときは「スー・チー、マジ激マブやな」くらいの感想しか抱かなかった阿呆な23歳が、31歳になって見直したとき、本気で劇場から逃げ出したいくらい動揺して、こんなひどい映画二度と見ないとひとりで傷ついたりしてましたとさ。さて今回44歳になった私はどんな気持ちになるんだろうとドキドキしながらの鑑賞。
結果、もうこれは『スタンド・バイ・ミー』を超えた青春映画の金字塔なんだなと納得。正視できないくらいに眩しい若者たちの、一生続く夜のお話だった。
説明できるような内容があるわけはなく(だってそんな夜に語るべき物語なんてあるはずもなく)、そこに映るのはループし続ける夜遊び、美味しくないお酒とタバコ、不機嫌、しょーもない男とのしょーもないセックス、年上の男、束の間の逃避、相変わらずの日常、豊かな髪、ハリのある肌、持て余す肉体、それは既に10年前。いやああ、ある意味熱い、「熱闘甲子園」より熱い青春。ホウさんは若者が遊ぶ場所を撮るのが抜群に上手いから余計に熱い。ほんま10年後に思い出すくらいでちょうどいい、リアルタイムはアホ過ぎる。
その「青春」を、ただ存在するだけで体現しているスー・チーの凄さよ。改めて激マブなのはもちろん、ほんとにあの瞬間のあの場所でしか有り得ない彼女の姿をフィルムに残したホウさんとリーさんは怖い大人だ。