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3.14

『PLAY!勝つとか負けるとかは、どーでもよくて』

eスポーツは『リビング・ザ・ゲーム』(18年)を見て以来結構好きなんですよ。ビースト(梅原大吾)尊敬してるし。なので、古厩智之監督『PLAY!勝つとか負けるとかは、どーでもよくて』を見てみたら、これが大変素晴らしかった。何がどう素晴らしいのか、具体的に説明するのがなんとも難しいんだけど、こんな満足感のある気持ちのいい青春映画は久しぶりに見た。
徳島県は海沿いの田舎町、高専に通う個性強めの青年3人がそれぞれのきっかけで全国高校eスポーツ大会のメンバーになり、最初は息の合わなかった彼らがだんだんと力を合わせて決勝戦を目指すようになる。「スポーツの大会」と言っても練習はPC相手にリモートでやり取り、オンラインで繋がる青春、汗も涙もない室内プレイ最高、と体育嫌いの私はまずそこに感動…。
で、その3人のそれぞれのキャラクターもめちゃくちゃいいんだけど、学校で見せる姿以外の、彼らの家庭環境をさりげなく見せる上手さ、特に奥平大兼くん演じる金髪少年の弟たち、その三兄弟のやりとりがさりげないようで完璧で、ほんとにすごい。勝つとか負けるとか普通学級とか特別学級とかどーでもよくて、斎藤陽一郎のクズっぷりはどうでもよくない。父親にあんなチキン飯食べられたら誰でもちょっと嫌な目で見る。
他のふたりもそれぞれの過去や問題を抱えつつ、大会のためにえっちらおっちら電車で上京。慣れない池袋の街をネットカフェを求めてウロウロしてるだけのシーンがやたら良いのは、やっぱり若者の青春映画を撮り続けてきた古厩監督だからなのでしょう。この、若者に対する距離感と演出力はみんなも絶対確認した方がいいと思うで。
「ロケットリーグ」というゲームは今回初めて知ったけど試合のシーンはつい白熱、応援する先生もいい、オタクくんの緊張もリアルで(だいぶイラついたけど)、最終的に青春はそんなに甘くない。それでもちゃんと爽やかで、彼らの笑顔が可愛い。エンドロールもめっちゃ良かった。東京でまだ公開してるなら絶対見た方がいいよ。