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3.19

『リトル・リチャード アイ・アム・エヴリシング』

2020年とつい最近までご存命だったにも関わらずこのドキュメンタリー映画を見るまでその名前すら知らず、見てからは逆になんで自分が今までこの人の名前すら知らなかったか本当に不思議に思えた、リサ・コルテス監督『リトル・リチャード アイ・アム・エヴリシング』。リトル・リチャードはロックンロールを作ったんよ、エルヴィスもロックの神と認めたんよ、なのになんで知らなかったのか。もちろん私の無知もあるけれど、その理由も見えてくるドキュメンタリーで、見れてよかった。場内は革ジャン着用ロック親父多め。
ファーストカットからクセ強めのオカマが早口で捲し立てる。55年のデビューシングルで大ヒット、若者の心を掴んで大活躍するも突如引退、急にスーツ着てめちゃ真面目に教会通い、と思ったら復帰してまたド派手な格好で大暴れとジェットコースター人生、結局最後まで金持ちか金欠かわからんかった…。
彼からの影響を憚らず公言するのはビートルズ、ローリング・ストーンズ、デヴィット・ボウイ…と錚々たるメンツ。劇中でもリチャードについてのインタビューに嬉しそうに答えるミック・ジャガー、ヒリー・ポーター、ジョン・ウォーターズなど多数。と同時に、黒人の同性愛者として表社会から排除されてきた過去、レコード会社からの未払いと闘い、グラミーなどの大きな賞からは存在を無視されてきた不遇さを訴える姿に胸がつまる(過去も現在もマジでグラミーってロクでもねえな)。そして、私はこの映画見て初めて「クイア」の意味を腹の底から理解できた気がする。
あらゆるものと本気で闘ってきたリトル・リチャードの音楽が最高にかっこいいのは当たり前、このラストシーンに涙涙も当たり前よ。これはずるいけど泣く。
この監督さん(『プレシャス』(09年)共同製作者の女性)、リトル・リチャードを好き過ぎるのか、ドキュメンタリーなのに全体的にスペーシー(宇宙)感のある演出で、その壮大さにちょっと笑った。でもいいと思う。エヴリシング。