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4.04

『オッペンハイマー』

真面目だからちゃんとIMAXで見たよ、クリストファー・ノーラン監督『オッペンハイマー』。個人的には今までひとつも面白いと思ったことのないノーランの過去作と比べて一番良かったというかようやく何が起こってるか理解できたというか。
オッペンハイマーさんことオッピーが「原爆の父」ってことくらいしか知らずに見て、なるほどこういう過程を経てオッピーは原爆の製造に関わるに至り、あんな町まで作ってみんなで盛り上がったのに、戦争のあとは苦労したんだなアメリカも勝手なやっちゃなってことはわかったけれど、だからと言って映画が始まってその180分後にオッピーがどんな人間がわかったかと問われるとイマイチ本当は何を考えて何に苦悩してたのか分からなかった気がする…。結構タチの悪い女好きってことはわかったけど…。結局タイトルが何なのか分からない映画、そんなことのためにこんな大層なものを作るノーランやっぱり変な奴、と思ったけど、今回のノーランジョークはなかなか冴えていたので好感度はちょっと上がる(女性の描き方に問題有りという声も聞くけど原爆みたいな男が作った頭のおかしなものの物語にいちいち女性を活躍させる必要もないと思うのでこれはこれでいいと思いました)。しかし観賞後あのオッピーの脳内(量子力学のイメージ)の光がぐるぐるする映像がCGではなく手動だと知って、やっぱり変な奴だった。
わからなかった前半とは逆に、後半モノクロ、ロバート・ダウニー・Jr.が中心になって話が進みだすと、その内容は既視感ありまくり、今まで何百回も聞いたような男の権力欲と嫉妬の物語になっていって、だいぶ退屈だった。逆転劇とかもまあそうでしょうよとしか思えなかったし。あそこ(モノクロ)もっと短くてよかった。
いやしかし、こんな映画の配給にビビる日本のはどうかしている。広島や長崎を描かなかったことに対する抗議、一部はわからなくはないけれど、基本的に今の日本人の被害者しぐさが嫌いなので無視でいいと思う。
今まで「変な顔」くらいのイメージしかなかったキリアン・マーフィ、今回やたらと私のツボで、だいぶかっこよかった。しかしよくあんないっぱい俳優揃えたよな。