4.11
『すべての夜を思いだす』
ようやく見られた、清原惟監督『すべての夜を思いだす』。
東京の郊外にある多摩ニュータウンを舞台に、世代の異なる3人の女性それぞれのある日を綴ったドラマ。
都会生まれ都会育ちの私は正直ニュータウン的なものに対してあまりいい印象がなかったのですが(なんか、画一的っぽいのが怖い的な)、この映画で初めて「そういう場所も良いもんだな」と思い改めたのでした。あんな緑豊かで歌もダンスもあるなんて。
ハローワークで職探し中(で、だいぶ変わり者)だったりガス検針員だったりもういない友だちの写真を現像したり、登場する3人はみんな違うことをしていて、それぞれにその時間を生きる女性たち子どもたち老人たち、ずっと変わらずそこにある多摩ニュータウン。人間か場所かどっちが主役なのかわからないくらい、本当に色んな人が生きてきた場所なんだなとしみじみしたところでホームビデオのハッピーバースデーを流されたらちょっと泣きそうになる。その場所の歴史というか記憶の一部でしかない人たちに対して「すべての夜を思いだす」と言ってくれる人がいてよかったと言うか。
監督がお若いからか女性だからか、撮影も女性だからか、映画全体にただよう空気に威圧感が微塵もなく、音楽やダンスの使い方もおしゃれで不自然さ0、作ってる人たちが楽しんでるんだろうなってことが伝わる、画面に映る新緑のように爽やかで開放感のある作風がとても気持ちいい、花火やガールズたちがただエモいだけじゃない、これは貴重な映画。