『蛇の道』
そしてご厚意により、6月14日(金)より公開の、黒沢清監督最新作『蛇の道』を試写で拝見。言わずもがな、98年黒沢監督『蛇の道』の舞台をフランスに変えてのセルフリメイク。大好きな作品だけど、『蛇の道』と言えば「おい、それじゃ世界が終わっちまうだろ」くらいしか記憶が残ってなかったので、試写の前にDVDで98年版をおさらい、が、みなさんは特に復習しなくていいかもです。これだけで十分おもしろいから。
主人公演じる柴咲コウ、どうしても哀川翔のイメージが強過ぎるかと思ったけど、全編フランス語で話す謎の精神科医、これはこれでまったく新しい『蛇の道』になっていてお見事であった(黒沢監督は彼女とか中谷美紀とか、有無を言わさない美形に恐ろしいことをさせるのが好きなのかなとちょっと思った)。
大好きなマチュー・アマルリックが酷い目に遭っていて、まさかあそこまでするとは予想外だったのになんでかマチューは嬉々として演じていて、悲惨なシーンなのにめっちゃ笑ってしまった。マチュー可愛い。あと、西島秀俊のまばたきの芝居が素晴らしかったので是非注目してほしい。そしてルンバ。
しかし舞台がフランスになったとはいえ、まごうことなき黒沢清の映画になっていて、逆によくこんな黒沢さんっぽいロケーションがフランスにもあったもんだなと感心するくらい。赤いテープは持参したのかな。
物語の内容は大きく変わってはないが、より明確に「復讐」の映画になった印象。それでももちろん怖いことには変わりなかった。オリジナルを見た人も見てない人も満足できる『蛇の道』だと思われます。6月には劇場に駆けつけましょう。
同じ試写を高橋洋さんもご覧になっていて、今回が初めての鑑賞だと言うので是非感想を聞きたかったのだがさすがに関係者っぽい輪の中に飛び込むのは私でも無理であった。無念。