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6.14

『関心領域』

映画を見る前にあまり情報は目に入れないようにしてるけれどやっぱり何度か予告やCMを見たり評判が耳に入ってきたりするもので、だいたいこんな映画かな~と想像していたものそれ以上でも以下でもなかったという印象でしょうか、ジョナサン・クレイザー監督『関心領域』。ちんたらしてんと公開してすぐ見にいっとけって話ですが…。決してつまらなかったわけではない。
青い空、瑞々しい緑に囲まれた小綺麗な一軒家で暮らす平和な一家、塀の向こうはパパの勤務先アウシュビッツ強制収容所。一日中ユダヤ人たちの悲鳴や銃声、その他色んなノイズが聞こえてくるけど基本ガン無視な家族。塀の向こうで何が起こっているのかは映画からはまったく見えない、でも聞こえるし、私たちは既に知っている。その地獄と平和の地獄。
塀の向こうは見えないけれど、川で優雅に泳いでいるとユダヤ人の遺体の灰っぽいものが流れてきて、それが子どもに触れそうになると必死で逃げさせるとか、自分たちが見ないようにしてるものが不意に具体的に現れると必死で消そうとするとか、この人たちは無関心なんかじゃなくてただの超悪人やんとしか思えなかったんだけど、まあそういう人はいつの時代にもいる。だから衝撃とか恐怖というより「いつの時代も一緒か…」とため息が出る感じであった。映像は見てないけど監督はアカデミー賞のスピーチで現在のイスラエルを批判したそうで、そしたらそのスピーチが猛烈に非難されたそうで、映画より酷いんじゃないかって恐ろしいけど、日本でも首都の知事が小池百合子だったりするしね…。と、映画から派生したところでやたらブルーになる映画であった。
もちろんそれがわざと、明確な狙いがあってやってるってことはわかるんだけれど、画面の外から聴こえてくる複雑な音に対して映っている世界が常に人工的に明るく、奥行きのない空間で、最初から最後までずっとそれはさすがに疲れた。あと、アウシュビッツ博物館の清掃バイト(正社員やったらごめん)はかなりやりたくないな…と思った。