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6.30

「ホン・サンス特集」

監督作は結構見てるつもりやったけどまだまだ見てない映画があったので、菊川にあるStrangerさんにて開催中の「ホン・サンス特集」にて未見の2本を。
『草の葉』(18年)、特に目立ったとこもない地味な喫茶店で男女がふたり何やら話をしている。はじめはよそよそしい距離感だったが次第に空気は不穏になり、女が大きな声で「あなたのせいで彼女が死んだ」と泣き叫ぶ。と思ったらカメラは同じ店内の別のテーブルで会話する男女に移動し、そこでは自殺未遂を起こした俳優らしき初老の男と後輩らしき女性の会話を映す。と思ったら今度は…とその喫茶店で男と女が話している様子と、Macに向かいながらその会話に聞き耳をたてるひとり客のキム・ミニ。「この喫茶店を巡る物語か」と理解しかけたら、あっさりと別のお店に移動したり、どこにいるかもわからない男の背中と女の会話が始まったり。キム・ミニと同じく聞き耳を立ていた劇中の男女たちの会話はかなり自分勝手(特に男が)だが、映画自体も自分勝手に進んでいくのに、これがべらぼうに面白いのがほんと不思議。久しぶりにホン・サンスの映画を見て「ホン・サンスの映画見た〜」(=自分勝手だとわかってる男にまた振り回されてしまった感)にぞくぞくできた。
『リスト』(11年)、しっかりものの母(ユン・ヨジョン)と子どもじみた娘(チョン・ユミ)。このふたりのやりとりが母と自分を見てるようで映画のあいだ中恥ずかしかったくらいなのだが、それはまあ置いといて。
これもふざけてるのか真面目なのか、冗談みたいな映画(28分)なのにめちゃくちゃ面白いんよなー。こんな映画監督、現実でも夢の中でもかなりキモいけど、なんかニヤニヤしながら見てしまう。ここ数年はこの頃のホンさんと微妙に違うテンションの作品が増えて、それはそれで素晴らしいけど、やっぱりこういうバカバカしい映画もほんまに好き。早く新作も見なければ。
一本目上映後には月永理絵さんのトークを拝聴。安定したお話を安心して聞きつつ、月永さんの声と話し方は自分と真逆過ぎて毎度羨ましい…。