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7.04

『生きて、生きて、生きろ。』

予告を見て気になったので、島田陽磨監督『生きて、生きて、生きろ。』を見にいってみた。
震災と原発事故から13年経った福島県、時間を経て多発している遅発性PTSDやこころの病を抱えた患者と向き合う相馬市のメンタルクリニックの院長、蟻塚亮二医師。また連携するNPOこころのケアセンター職員米倉一磨さんはこころの不調を訴える利用者たちの自宅訪問を重ねる日々。彼らの元を訪れる患者さんのお話や、福島の前は沖縄の病院で働いていたという蟻塚さんのお話、そして彼らと出会うことで変化していく患者さんたちの姿を追うドキュメンタリー。
震災を巡る映画は幾つか見てきたけれど今作が一番社会派というか震災と原発事故を社会問題として捉えていて、理不尽なことばかりで見ながら「自民党コロス」と暴れたくなったけど、もちろん今そこで生きる人々には希望もある、良い映画であった。
恥ずかしながら全然知らなかったけど、蟻塚医師から語られる日本の東北地方の歴史、明治時代から貧困を押し付けられてきた事実と原発事故の関係。それが沖縄の沖縄戦や基地とつながり、二つの土地で蟻塚医師が診てきたこと、その根深さに愕然とする。
具体的に顔と本名を出して自分たちの震災の辛い記憶と今も続くPTSDや鬱と闘う姿を見せてくれる人たちの、前に進もうとする姿に感動すると同時に、あまりに残酷な過去に「そりゃ鬱にもなるわな…」と思わずにはいられなかった引きこもりの男性の、あのラストは絶対見てほしい。泣いた。
「福島には未来がない」(子どもの自殺率が急増している)と断言する医師の言葉を聞いてめちゃくちゃ陰鬱な気持ちになったところに、復興五輪の聖火ランナーとコカ・コーラのDJカーの映像が、ちょっともう言葉にならないくらいすごいから、この絶望の衝撃も是非みんなに体験してほしい。