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7.06

『ちゃわんやのはなし 四百年の旅人』

ドキュメンタリーは単純に勉強になるから好きです、松倉大夏監督『ちゃわんやのはなし』。どなたかがゼミの課題にしてるらしく若いお客さんがいっぱいだった。
豊臣秀吉が一方的に朝鮮に出兵して朝鮮人に迷惑をかけたってことは知ってたけど、その際に朝鮮人陶工を連行して帰り、薩摩の地で手厚く庇護し、白磁作らせた(その当時日本には白磁が存在しなかった)、それが今では世界的にも評価の高い薩摩焼であるという歴史なんて今回初めて知ったし、その中でも沈壽官家はその頃から400年以上一代も欠けることなく、現在十五代目沈壽官が活躍中だなんて、私も一応在日三世ですが、全然知らなんだ。
主にインタビューを受けるのは十五代沈壽官で、彼の口から父親である十四代について「とにかくカリスマのある人だった」と語られ、確かに過去の写真を見ると一見しただけでただ者じゃない感がすごいんだけど、それに対してすごく人当たりの良さそうな、自然体な十五代がえらい対照的だなと思いかけたが、十五代の若い頃のエピソードも中々常軌を逸してて(あのキムチ壺は懐かしい)、朝鮮人っぽいなと笑ってしまった。
韓国は儒教の影響が大きいため「伝承」という意識がなくて(それも知らなかった…)父の跡をついで息子(娘は登場しなかった)がその名を名乗る、みたいなことがないけれど、日本で活躍する沈壽官に刺激され、徐々に皆が伝統を守る意義について考え、語る。そうして過去と未来が繋がっていく…というのは本当にその通りで、素晴らしい文化だとはもちろん理解するけれど、三世だったりすると祖父母以前の自分の祖先を知る術もなく(しかも私は子なしで…)、過去と未来とは…とちょっと遠い目になったりもしたりもした。監督さんはなぜ題材に興味を持ったのかちょっと知りたい。