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9.29

『ヒットマン』

なんだか最近人気者のグレン・パウエルを初めて見たときには、「このニヤケマッチョは「初対面は最悪やけど最終的にはめっちゃええ男で主人公と結ばれがち」な役しかできないんじゃないか」と思っていたのだけれど、リチャード・リンクレイター監督『ヒットマン』では全然違うキャラクターを見事に演じ、さらには脚本にも参加してるっていうんだから、予想は大外れ。まさかのインテリニヤケマッチョだった。
普段は地味な愛猫家の大学教授ゲイリーがひょんなことから地元警察のおとり捜査で殺し屋を演じることとなり、やたらと他人になりきる才能があることからその後も殺し屋を演じ警察に協力する中で、ある日夫の殺害を依頼してくるマディソンという魅力的な女性が現れるのだが…、という半分くらい実話のお話らしいが、もう滅法おもしろい。ゲイリーが哲学と心理学の教授であることから、「なりたい他人になりきること」と「自分自身を変えること」的な深い話的な部分もある的なことは置いといて、ゲイリーが上品な熟女に会いに行くときはめっちゃ『それでも夜は明ける』のブラピのコスプレしてて爆笑。あと、いい奴らだけど無駄に下ネタで盛り上がるたいして映画に絡まない同僚たちにも笑った笑った。
なんやろ、サクサク進む物語は奇想天外、お堅い観客が怒り出してもおかしくない結末なのにどこまでもハッピー。2人くらい死んでるけど。恋するグレン君も可愛い。ダルい日本映画と濃ゆい韓国映画のあとにこんなのを見ると、やっぱりアメリカさんは誠実で軽薄で最高やなと感動するしかない。