11.01
『Cloud』
なんてね。
黒沢清監督『Cloud』を見たらすっかりご機嫌になったので無問題。
ほんとになんてことない町工場から始まる映画は、一見普通の風景のようで常に何かがおかしくて(見直せてないから確かじゃないけど、窓の外とかいちいち変だったよね?)、「普通の青年」という設定の菅田将暉も全然普通じゃなくて、後半には本格的に「狂った人たち」が出てきて大変なことになって、世界がめちゃくちゃになって終わるけれど、冷静に考えるとこれって私たちが生きる世界の「cloud」のお話なのか。SNSの炎上がその人を社会的に抹殺してしまうこの世界は黒沢監督くらいまともな大人にとっては完全に狂った世界なんだろう。だから別にこの映画の転調は不自然でもなんでもない。
最近は本当にお金のために簡単に人を殺す強盗事件が多発、カネを稼ぐことだけが評価される今この世界はほぼ地獄。そうして人を殺してまで稼いだ金はキャバ嬢やラウンジ嬢たちへのシャンパンとプレゼントに化けて、カネのない客は無価値。男のクレジットカードは女の成功の証の世界はまあまあ普通やからねマジで。逆に監督が具体的にどこでリサーチしたのか知りたい。北新地か六本木か?
監督絶賛の菅田君、久しぶりにシンプルなビジュアル、全編出ずっぱりも納得の俳優さんだった。
最近よく見る古川琴音クン、今まで思ったことないのにこの作品では洞口依子さんそっくりに見えてビビる(衣装も『カリスマ』のときの洞口さんに似てたような)。あんまり得意じゃない窪田正孝君もハイローのスモーキー以来のハマり役で良かった。
そしてなにより、古厩監督『PLAY!』で大注目していた奥平大兼くんが大活躍していて満足。陰惨な話なのにみんなイキイキしてるのが素敵よね。