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11.06

『トラップ』

最近はたいして興味もないのに何故かいそいそと、M・ナイト・シャマラン監督『トラップ』を見にいって、見ながら「たいして興味ないって言ったやん!」と騒ぎたくなるような作品だったのであった。一応サスペンススリラーって言うけどさあ。
ジョシュ・ハートネット演じる父親クーパーは娘のお供に世界的歌手のアリーナライブに行き、過剰な警備を不審に思って警備員に尋ねると世間を騒がせている凶悪な切り裂き魔が今日このライブに現れるという情報を聞く。それを聞いてから明らかに挙動不審なクーパー…、って、最初から最後まで徹頭徹尾その凶悪犯はこいつ(クーパー)やん!なんの引っかけもどんでん返もなくこいつやん!映画に出てくるすべてがクーパーのために都合よく展開し、そんなことするから不自然な状況(ライブ中なのにロビーに人が大量にいたり、大物歌手のリムジンにスタッフがまったく乗ってなかったり)ばっかり生じて、ライブ会場というある種の密室感を一切生かさないまま素知らぬ顔で話を進めるシャマランが一番怖いよわたしゃ。クーパーのキャラ変も最後のオチも全然おもんないし。
ここまで来ると本気で「今回は娘のサレカを世界に売り出すためだけに作った、ワールドワイドな家族愛映画なのだ(世界的歌手を演じるのはシャマランの娘サレカ・シャマラン、後半めっちゃ活躍する)」と思うしかなく、それだとまあ「シャマラン、良いパパなんだな」と納得するしかないのか?いや多分違う。
ただそれでも、劇中ヌッと出てきて不穏な言葉を残していく友だちの母親が気持ちの悪い残尿感みたいな、そんな手触りだけは残しやがって、ほんまなんなんこいつ。と言いながら、ほんまに何がしたいのかを確認するため次回作も見てしまうのかもしれない。いやもう騙されない。多分。