12.13
『チネチッタで会いましょう』
どんな映画かまったく知らずに、ナンニ・モレッティ監督『チネチッタで会いましょう』を見てみたら、こんなに楽しい映画だなんて。モレッティさん、実年齢に対してビジュアルもだいぶ若く見えるけど、撮る映画も若々しいというか自由というか、イタリアの歴史はだいたいベロッキオの映画からしか学んでないからほぼほぼ暗い話しか知らないけれど、たまにはこういうバージョンもいいわね。70歳とのことなのに、私には死んでも乗れないループみたいな電動バイクもすいすい乗りこなしてて、軽やかで羨ましい限り。
新作映画のことで頭がいっぱいのベテラン監督、密かに離婚を考えている女優の妻、年寄りと交際中の娘、まったく気が合わない主演女優(めっちゃ笑った)、タランティーノみたいな新人監督、インチキプロデューサーのマチュー(かわいい)。ラストの韓国人たちも、今の時代にはめっちゃリアルで新しくて良かった。
古い映画の引用なんかはほとんどわからなかったけど、モレッティ本人が演じるベテラン監督の深刻だけど滑稽な姿にゲラゲラ笑いながら見てたのに、そんな陽気な気分は鑑賞後に見た某誌の星取り記事で一気にブルーに。
3人の映画有識者?が揃いも揃って高齢者の言い訳だのナルシシズムだの老害だの、酷い言われようで読んでて悲しくなってしまった。お年寄りとか歴史に対してこういうことが言える国の人間が「高齢者は自殺しろ」って言い出すのも当然な気もする。年末に世知辛いわん。