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2.06

『ザ・ルーム・ネクスト・ドア』

『ザ・ルーム・ネクスト・ドア』で久しぶりにペドロ・アルモドバル監督の作品を見て開始数分で思い出した、私この監督の被写体との距離感無理なんだった。107分間「近いな…」と思いながらの鑑賞。原作小説は未読。
人気作家らしいジュリアン・ムーア、久しぶりに会った友人のティルタ・スウィントンは癌に侵されており、治療を拒否して自らの意志で安楽死を望むのだが、その際人の気配を感じていたいのでジュリアン・ムーアに隣の部屋にいて欲しいと突拍子もない頼み事をしてくる…、と大体の物語を把握するにつれ「カネあるんだから普通に高級ホスピス入って楳図かずお先生的最期を迎えれば友だちに変なプレッシャーをかけることなく解決できるのでは?ジュリアン・ムーアに大した必然性がないなら尚更」としか思えなかったんだけど、無粋過ぎるか…。
相変わらずスペイン感全開のインテリアや衣装のカラーリングは素晴らしいとはいえ、主演2人の、マンハッタンのイケてるマンションのイケてる部屋に住んで良い病院に入院して文化的教養も持ち合わせて、更には元カレは環境問題に地球危機を語る、って、笑っていいのか本気なのか混乱するほどのスノッブ感に、映画的に優れていたり知的な仕掛けがあるんだろうってことはそこはかとなく理解するけど、私はこんな大人になりたくないな…と思ってしまって全然乗れず。
誰にでも尊厳死という権利は当然あるけれど、戦場を間近で見てきたり若い頃の恋人がベトナム戦争のPTSDで苦しんだ挙句死んでしまったというティルタの過去がどういう経緯でその選択に至ったのかもようわからん。
と、こんな感じの雑い感想になってしまうのは癌サバイバーだったりサバイブできなかったりした家族を思い出してモヤモヤしただけなので、許して。