『プロジェクト・サイレンス』
アジョシー!と叫びながら、キム・テゴン監督『プロジェクト・サイレンス』。大々好きなイ・ソンギュの遺作だなんて信じられない信じたくない、何も死ぬこたあないやんねえ……。
そんな悲しみを抱えながらの鑑賞、最期の姿をひとり静かに追悼しよう…とスクリーンを見つめるも、作品自体がマジで『ミッション:インポッシブル』&「バイオハザード」、霧の中から出てくるのは『ミスト』か、みたいなよく出来た超スーパードキドキわんわんパニック映画で、間髪容れずにパニックに次ぐパニック、落ち着いて悼む時間なんて1秒もなかったのであった。無念。
イ・ソンギュ演じる国家保安室の行政官は留学する娘を車で送り中、空港大橋での玉突き事故に巻き込まれる。橋の真ん中で孤立した116人、そこに国家機密計画「プロジェクト・サイレンス」のために生み出された兵器化した殺人犬たちが脱走したことが判明し…。
冒頭の玉突き事故からサービス精神満点の玉突きっぷり、橋が崩壊していく姿やヘリコプターが墜落する瞬間など、今更やけどわー国のアクション映画とレベチ過ぎるのは当然として、あくまで橋で孤立した生存者たちに起こるパニックとドラマだけに集中し(家で待ってる家族や恋人の存在は一切描かない)、そこからの脱出劇をサクッと96分にまとめる潔さは素晴らしい。それでも最後にはちゃんと政治家をビンタするところも韓国映画らしくて良かった。
イ・ソンギュはパニック状態でもかっこいいパパだったけど、突然絵本を朗読する展開はちょっと笑ってしまった。やっぱりみんなあの声が聴きたいんよな。最後の笑顔にはちょっと泣いた。
殺人兵器と化したわんちゃん(ほぼピットブル)がちょっとCGっぽ過ぎるかなーと思ったけど、でもこれ逆にリアルだと蹴られたり撃たれたりしてる生々しい姿なんか見てられないよね。だからこれでよかった。わんちゃんによる人間への復讐劇だと考えると、これは続編あるのかな。次作はチュ・ジフン主演かな。