『侍タイムスリッパー』
祝日本アカデミー賞受賞記念に、安田淳一監督『侍タイムスリッパー』を見てみた。いや普段は大手映画会社の茶番劇でしかない日本アカデミー賞なんて興味ZEROやけど、低予算インディーズ作品が最優秀賞を獲るってさすがに普通じゃないなと気になって。
幕末の武士・新左衛門が現代の撮影所にタイムスリップし、ドタバタと騒動を起こす侍コメディー、でしょうか。映画を作る映画ってことでは同じく社会現象になるほどヒットした低予算映画『カメラを止めるな』と同じとも言える。後半の展開はまったく予想してなかった。
監督さんの事情や俳優さんの詳細は各自調べてもらうとして(NHKで特番もやるっぽい)、時代劇がテレビ欄から消え、「時代劇映画」というと巨匠監督による老人の道楽(安井豊)みたいな作品か若手監督によるちょんまげコスプレ映画しか見当たらない現代において、「今、時代劇を撮るとはどういうことか」を真剣に考えている今作には好感を抱けました。ちょんまげはコスプレだと認めた上で、殺陣をする動機に説得力を持たせる。だからこそ、だからこそラストの映画内映画においても『侍タイムスリッパー』という映画においても大々々クライマックスである最後の戦いはあと5万倍くらい研究を重ねて撮ってほしかった……!という悔しさが残りまくる。あそこはワンカットでいってよ〜〜〜。
主演の山口馬木也さん、イケメンでコメディの運動神経も良くて、殺陣師役のおじさんや助監督役の女性も実際にそのお仕事をしてる役者さんというミラクル、これらの役はこの人たちが演じるからいいのであって、絶対絶対有名俳優でのリメイクは反対。
前半のノリとか結構キツイな〜と思いつつも131分が苦痛には感じなかった。個人的に一番気に入ったのは「主人公が走馬灯で見るやたら丁寧な時代劇あるある風景」です。見てみて。