『ノー・アザー・ランド 故郷は他にない』
祝本家アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞に、バーセル・アドラー監督『ノー・アザー・ランド』を見てみた。
運動家の親の元に生まれたパレスチナ人のバーセルが幼い頃から撮影していた故郷の様子、親しくなった同じ歳のイスラエル人ジャーナリストとの対話など。撮影は、23年10月7日を境に続行不能になり映画は終了する。
撮影された映像には、イスラエル軍がパレスチナの小さな集落に銃を持って現れ突如住人を撃つようなショッキングな様子も映っているのだが、私がそれより衝撃を受けたのは、だだっ広い砂漠みたいな土地にぽつぽつ建つシンプルなパレスチナ人の住居をイスラエル人軍がマメとも言える頻度でブルドーザー2、3台で現れ、ぐしゃっと壊して帰って行って、住民たちが怒りながらも家を再建するとまたブルドーザーでぞろぞろ現れて壊して帰っていく様子。それをヘラヘラしながらスマホで撮影する軍関係者。そんなことが十数年に渡って繰り返されているのを見て、「そりゃこんなことされたらパレスチナ人の堪忍袋もブチキレるわな…」と納得。ハマスがどうのこうのより、こういう風にパレスチナの日常が長年に渡って理不尽に破壊されてたのかと初めて実感できた。村の井戸にぶりぶりと流し込むセメントがうんこにしか見えなくて、ほんまに小学生のイジメみたいなことするのな。最低。
そんな日々の中でも、監督のバーセルと友だちになっていくイスラエル人のエヴァル。二人で街に出たり、水タバコを吸いながらだべっている姿はほっとする一方、エヴァルのことを詰めるバーゼルの父親の立場も当然だとも思うし、難しい…ことはなくイスラエルが虐殺を止めればいい。
見ながら、バーセルがかっこいい構図で画面に収まってる瞬間誰が監督してるんだ?と思っていたらパレスチナ人とイスラエル人監督がもうひとりずついるのね。受賞おめでとう。
と、ここまで書いて怠惰が故に1週間放置してたら現実が大変なことに…。イスラエルは狂ってる。