3.27
『ANORA アノーラ』
我ながら出遅れすぎな、ショーン・ベイカー監督『ANORA アノーラ』をようやくようやく。
好きな監督なので、パルムドールとオスカーだなんてショーンさんも大出世ねiPhoneからフィルムにもなってよかったよかったと優しい気持ちで見たのだが、やっぱりよくない。期待してたのにがっかり。
ストリッパーのアノーラ(アニー)ちゃんがロシアの大富豪の御曹司に気に入られて結婚するもロシアの両親にそのことがバレて大反対にあう話がつまらないんじゃなくて、アノーラちゃんの「ビッチで凶暴で破天荒なセックスワーカー」像が全然面白くない、『タンジェリン』(15年)のあのイカれたビッチはどこにいった!?もちろん演じるマイキー・マディソンが魅力的なのは否定しないけれども、彼女のいちいちに特に新鮮味も驚きもなく、何のスリルも感じず途中で飽きた。今更こんなドタバタ劇を見せられてもなあとがっかり。これなら北新地のキャバ嬢のドラマの方が面白いんじゃないの。指輪もひめかの方が大きかったし。
前半しつこく繰り返される生々しいストリップやセックスのシーンの意図は理解するしそれはいいと思うんだけど、さすがにちょっと長いと感じた。せめて120分くらいに収めて頂きたい。
『プリティ・ウーマン』現代版のリアル、所詮は強者に売女だビッチだと見下される若い女たち(セックスワーカーでなくても)には大金持ちの王子様なんて現れない、最初から最後まで傷つけられっぱなしの女の子のリアル。誰でも知ってることをわざわざ映画にするのにこの終わり方って、そのリアル要るかなあ。個人的にはリアルの先のフィクションを見せて欲しかった。ふたりであの無人の豪邸のリビングに置きうんこでもして泣いてくれたら笑えた。