マノエル・ド・オリヴェイラ特集
4月中なんとか頑張って通ってみた「没後10年 マノエル・ド・オリヴェイラ特集」、見れたのは『カニバイシュ』(88年)、『絶望の日』(92年)、『アブラハム渓谷 完全版』(93年)の3本。地獄の入り口のような渋谷駅からル・シネマさんに一直線で向かい、見終わったら一直線で駅に戻る日々。渋谷こわい。
『カニバイシュ』は以前にも(多分10年前)見たことがあったけど、あの異様な世界をもう一度劇場で体験したくて。2回目でもやっぱり前半の厳粛なオペラミュージカルにちょっとウトウトしつつ後半のゴージャスでイカれた展開に痺れる。80歳でこんな映画撮って、孫とかに嫌われなかったのかな。
『欲望の日』はなんとも完璧な、一瞬も気を緩められない画面の連続に姿勢を正しながら鑑賞、したのだが、主人公の小説家が「(どんなに女と遊んでも)真に私が惹かれたのは「死」だけだった(大意)」みたいなことを言うのが中2っぽくて嫌だな…とか思ってしまい、そのあと結構長生きして自分の病気にテンパりまくるのもダサ…とか思ってしまったので私にはまだまだポルトガル文学は早いんだと悟る。
そしてお久しぶりの『アブラハム渓谷』は、やっぱり幼少期のエマと成長したエマが別人過ぎて笑ってしまったのだが、医者の夫がエマが幼少期14歳の頃から目をつけていたというのは今の若いお客さん的に大丈夫かしらと老婆心。
数年前に見たときは「わーすごーい」と圧倒されただけだったので今回初めて劇中のナレーションが意外と真面目にフェミニズムを語ってるんだなと気づけてよかった。しかしどこが15分追加されたのかは気づけなかった…。あと、猫を飼ってる人にはわかると思うけど、猫は結構投げるものなのであのシーンは全然有りかと。あんな恐ろしい表情をするエマが酷い。
三作しか見てないけどどの回も盛況で若いお客さんも多くて、渋谷は嫌やけど良くもあったのかな。