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5.10

『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は』

内容に関することはまったく知らぬまま監督と原作者だけを頼りに、大九明子監督『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は』を鑑賞。タイトルとポスターからなんとなく恋愛モノなんだろうと想像はしていたけど、まさかこんなに凄い恋愛映画だとは。
いわゆる陰キャの男子大学生の小西くん、学内で唯一の友だち山根と銭湯バイト仲間のさっちゃんとふざけ合う冴えない日々の中、ある日教室で見かけた桜田花に目を奪われたことをきっかけに日常に変化が訪れるのだがしかし…なストーリー。
今さら大学生の男の子が恋に一喜一憂する様を見てまさか自分が興奮するとは思わなかったのだが、まあとにかく動き回る若者たちに対する演出と編集のキレにうわーすげーと興奮していたら、動き回るじゃ飽き足らず若者たちは喋る喋る、で喋るシーンは全部息が苦しくなるほどの熱量にくらくらした。その辺の笑って泣ける映画とは比べるのも失礼な、今日本でこんな知的な映画も他に見当たらないのではと感動。主な登場人物を演じる若い俳優さんもみんなびっくりするほど良かった。めっちゃイケメンなはずの荻原利久くんがだんだん福徳っぽく見えてくるからすごい(福徳は歳をとらない)。
(鑑賞後気になってジャルジャル福徳秀介の原作小説も読んでみたら、ほぼほぼ原作通りの脚本で、あの長台詞も全部書かれてあって、こんな魂がこもった文章読んだらそのまま脚本にする以外の選択はないわなと納得できるし、これは原作者も嬉しいだろうと思う。そういうところも良いし、映画オリジナルの部分も納得しかない)
最近よく見る「映画の中で人が死ぬ」映画だけれど、そこでも人が死ぬ=残された人がいるという現実への説得力、河合優実クンのあの狙ってるとわかってるのに泣かされるズームも意味はわからないけど凄い。
久しぶりに驚きと感動で胸いっぱいの日本映画が見れて余は満足じゃ。