5.27
『サブスタンス』
話題になってることは知ってたけど内容に関してはほぼ情報ゼロのまま、コラリー・ファルジャ監督『サブスタンス』を見たんですけどね。うーん、こんな感じなのか…という微妙な感想しか抱けず、無念。これ142分は長いよ。
元人気女優のエリザベス、50歳を越え、衰える容姿と減少する仕事に抗うため怪し過ぎる再生医療「サブスタンス」に手を出し、見事「若くて美しい私」を手に入れるのだが…というストーリーを通して、常に見られる存在である女性の「老い」に対する意識=社会(=男性)が求める「女は若い方がいい」という価値観を内面化して生きざるを得ない大多数の女たち(50歳の落ち目の女優を演じるデミ・ムーアが美し過ぎるのがその深刻さを具現化していてもう辛い)の苦しみや怒りを描いているんだと理解。この映画自体はさほど面白いと感じなかったけどそういうテーマで女性監督が映画を撮ることは大変素晴らしいことだと思う。
ただ、これは趣味の問題になるのか、せっかくデミ・ムーアがここまで体を張って色んなことを曝け出して演じているのにこんなどぎつい作品にしてしまうのはちょっともったいないなあとも思ってしまった。もっとシンプルでも良かったんじゃないかしらと思うけど、でも女の怒りや悲しみなんてこれくらいショッキングな映画にしないと誰も(=男は)興味を持たないって現実もわかるし、なかなか難しい。
ラストの池田敏春ばりの血糊にはさすがに笑ってしまったけれど、笑うことでもないだけれど。