6.05
『リー・ミラー 彼女の瞳が映す世界』
リー・ミラーさんのこと全然知らなかったんですけど、エレン・クラス監督『リー・ミラー 彼女の瞳が映す世界』がめちゃんこ面白くて感動。監督も主演も脚本もプロデューサーも女性でこんなすごい映画が作れるんだから世界は総理大臣も大統領も女性にするくらいした方がいいよ。
1920年代トップモデルだった女性が写真家に転向し、第二次世界大戦の報道写真家になる。映画はリー・ミラーが報道写真家として活躍した10年間を、一貫して彼女の視点から描かれる。
もう、リーを演じるケイト・ウィンスレットの顔の皺やぐちゃぐちゃの髪の毛の説得力が凄過ぎて、それだけで満足しそうになるけれど、リーと夫や相棒(ええ奴)との関係や女友だちとの友情などのさりげないけど胸熱な人間関係の描き方、悲惨過ぎる戦場やホロコーストの真面目な演出と、虐げられる女たちへの視線など、本作がエレンさんの劇映画初監督作とは信じられないくらい良かった。あの戦争が終わった(仮)あと、編集長の友人に突然自分の過去を話し出すシーンには震えた。
回想方式であくまで自制に沿って丁寧に描かれる映画が、最後には「あ」と声が出てしまうようなリー・ミラーの物語じゃないと不可能な仕掛けの終わり方だったのも良かった。まだギリ上映してるっぽいので劇場で見てほしい。