10.29
『ワン・バトル・アフター・アナザー』
ビスタビジョンで撮影されてるという情報も持たず「ちょうどいい上映時間がIMAXしかないなあ」と若干納得いかない状態で見にいった、ポール・トーマス・アンダーソン監督『ワン・バトル・アフター・アナザー』。最後のクレジットが終わった瞬間には思わず拍手してしまったぜ。夕暮れを背に歩いてくるかっこいい女の子のファーストカットに興奮したら、そのあと162分興奮しっぱなしのままあっという間に終わってしまったんだけど、これってスピルバーグが3回見るくらいなんだからアメリカはもちろん日本でもヒットしてるのよね?(最近興行ランキング的な番組が「王様のブランチ」午前の部くらいしかないの困る。大阪では放送してないし)ディカプリオが出てるからって今さら客が入るとは思ってないけどここまで面白かったらさすがにアニメバカたちも見に行かないと。
前半の若くて元気な革命家たちがぽんぽんテロを起こすリズムの良さ、テヤナとロックジョーの最低で最高のやり取りも勿論テンション上がりまくったけど、でもやっぱマリファナと酒に溺れた中年ディカプリオが愛するひとり娘を守るために孤軍奮闘するあの時間があまりにも贅沢な面白さに満ちていて幸せでございました。見てからだいぶ時間経ってるけど思い出しただけでニヤニヤできるくらいには面白かった。
と、ほわほわして多幸感に満ちるだけで全然いいと思うんだけど、いやこれよりも『インヒアレント・ヴァイス』(14年)の方が好きだという人の気持ちもわからなくはない。あれも最高に面白いしね。でも、今の時代に敢えて映画的にも内容的にもここまで大真面目な作品を作るPTAさんの不器用な誠実さに一票入れたい気持ち。

